大判例

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札幌高等裁判所 昭和29年(う)460号 判決

所論は、原判決は被告人は(一)昭和二十六年六月二十八日旭川簡易裁判所において窃盗罪により懲役一年(四年間刑執行猶予、同年十二月十六日右執行猶予取消)(二)同年十一月九日同裁判所において同罪により懲役十月に各処せられ、原判示第一の一、(一)を除く爾余の犯行当時右各刑の執行を終つた事実を認定し、法令の適用において、右両前科と原判示第一の一、(一)を除く爾余の犯罪とを三犯として刑法第五十九条第五十六条第一項第五十七条を適用し累犯加重をなしたが、右(二)の前科は執行猶予中の犯罪であるから、従つて右(一)、(二)の前科の間には累犯関係がないのにかかわらず、これありとして原判示第一の一、(一)を除く爾余の犯罪とを三犯として加重したのは法令の適用を誤つたものであり、右誤は判決に影響を及ぼすことが明らかである(昭和二十六年十一月二十九日広島高等裁判所第二部判決参照)から破棄を免れないというにある。

按ずるに、原判決挙示の検察事務官作成の被告人に対する前科調書及び当裁判所で取調べた旭川刑務所長作成の「被告人の服役に関する件回答」と題する書面を綜合すると、被告人は(一)昭和二十六年六月二十八日旭川簡易裁判所において、窃盗罪により懲役一年(昭和二十七年政令第一一八号により懲役九月に減軽)四年間刑執行猶予に処する旨の判決言渡を受け翌七月十三日確定(同年十二月十一日執行猶予取消決定、同月十六日確定)(二)同年十一月九日同裁判所において、同罪により懲役十月(前記政令により懲役七月十五日に減軽)に処する旨の判決言渡を受け同月二十五日確定し、昭和二十七年六月二十三日(二)刑の執行を終り、同二十八年三月二十三日(一)刑の執行を終り、すなわち原判示の本件各犯行当時右各刑の執行を終つたものであることが認められる。而して右各前科は原判示の本件各犯罪に対しそれぞれ累犯の関係にあることは明らかであるが、右前科相互間には所論のように刑法第五十六条第一項所定の条件を欠くので、本件は再犯であつて、三犯でないから、従つて原判決が刑法第五十九条を適用したのは法令の適用を誤つたものといわなければならない。しかしその誤は判決に影響を及ぼすことが明らかな場合に該らないものと解するを相当とする(最高裁判所昭和二九年四月二日第二小法廷判決参照)。所論引用の広島高等裁判所の判例は本件には適切でない。論旨は結局理由がない。

(裁判長裁判官 熊谷直之助 裁判官 水島龜松 裁判官 中村義正)

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